高血圧や糖尿病、脂質異常症がWHOでも公表されている通り認知症のリスクになるためしっかりと管理しましょうという話はよく聞きます。
そして塩分を取りすぎると高血圧になりやすいということも周知です。
そのため塩分摂取→高血圧→認知症の流れにならないようにとは言われていますが、しかし2019年に、科学学術誌「nature」に掲載された論文(Nature 574: 686-690, 2019)によると、食塩摂取が直接認知障害につながる脳病変を引き起こすと報告されました。薬を飲んで血圧を下げるだけでは不十分で、食塩そのものの摂取を控える必要性があるという流れです。
理由も記事に書いてありますが、アメリカのワイルコーネル医科大学とワシントン大学の共同研究チームがマウスに高塩分食を与え続けたところ、認知力の低下が認められたようです。その理由を追究したところ、塩分が小腸の細胞に作用することで、インターロイキン-17(IL-17)という物質が増えて炎症反応が起こるとともに、IL-17が脳の血管壁に作用して、一酸化窒素(NO)の量を減らすことが分かりました。NOは血管を拡張させる働きをしていますので、これが減ると、血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると考えられますが、研究チームはそれ以外にも異常が起きていないかを調べています。
その結果、高塩分食によって脳の血管のNOが減ってしまうと、脳の神経細胞において骨組みの役割を果たす「微小管」を安定させるのに必要な「タウタンパク質」がリン酸化されて機能しなくなってしまうことが分かりました。
また高塩分食がもたらす2つの変化、つまり脳の血流障害とタウタンパク質の変化、のどちらが認知力の低下につながっているのかを明らかにするため、同研究チームは、タウタンパク質の変化が起こらないようにする抗体をマウスに投与してみました。すると、高塩分食で血流障害が起きていても、タウの変化を止めるだけで認知機能の低下を防ぐことができました。つまり、脳血流と関係なく、高塩分食が直接、脳の神経細胞を壊してしまうことで認知力の低下をもたらすことが発見されました。
塩分摂取は体にとっては必要なことではある一方過剰に摂取すると認知症にとって良くないことが起こることはわかってきています。
適度な摂取のために食生活を少し見直してみようと思った記事でした。
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